【わかりやすく解説】賢く土地・不動産を売却する方法
今回は大切な資産である土地を、できるだけ高く売りたい方へ向けた記事をお届けします。
現在、土地を所有している人で、自分の土地にどのくらいの価値があるのか、
正しく把握している人は少ないのではないでしょうか。
土地を賢く売却するには事前の準備と知識が必要で、下調べもしないまま売却しようとすると、
相場よりも低い価格で取引されてしまう可能性があります。
また、売却を依頼する不動産会社をどこにするかも重要なポイントです。
そこで本記事では、賢く土地を売却するコツや、優良な不動産会社の見極め方について、詳しく解説していきます。
目次
1. 賢く土地を売却するコツ
賢く土地を売却するには事前準備と、一定の知識が必要です。
もちろん専門家のような深い知識は要しませんが、土地の大まかな相場くらいは把握しておくことをおすすめします。
また、マイナスとなる査定ポイントを知っておくことも重要です。
(1)大まかな相場の知り方
土地の相場を知りたくても、どうやって調べればよいのかわからない人が多いでしょう。
以前は不動産会社で確認する方法が一般的でしたが、現在はインターネットを利用して調べることが可能です。
国土交通省の「不動産取引価格情報検索」では、指定した地域の最近の取引履歴を確認できるので、
大まかな相場を知りたい際におすすめです。
また、不動産一括査定サイトへ申し込んで、査定依頼するのもよいでしょう。
査定には、類似物件の売却事例などから価格を出す「机上査定」と、実際に現地調査を行う「訪問査定」がありますが、
大まかな金額を知りたい場合は、机上査定でも問題ありません。
(2)事前に知りたいマイナス査定ポイント
どんな点がマイナス査定となるのかも、併せて確認しておきましょう。
立地や周辺環境などが好条件であれば、高価格になる点は理解しやすいと思いますが、その他に土地の形が影響します。
評価がもっとも高いのは正方形の土地で、いびつな形の土地や間口が狭い場合はマイナス査定となります。
こういった土地は、購入する際も割安で売っているケースが多いのですが、
将来売却を見込んでいる場合は、できるだけ正方形に近い形の土地の購入をおすすめします。
(3)土地売買の大まかな流れとそれぞれのポイント
では、実際に土地売買する際の流れを見ていきましょう。
以下に基本的な流れをまとめます。
STEP1
事前準備では、売却に必要な書類や資料を手元に集めておきましょう。
登記簿、身分証明書、印鑑証明書、住民票、登記権利書、固定資産税納税通知書などのほか、
土地測量図・境界確認書の有無も確認するようにしてください。
STEP2
査定依頼は、後で紹介する一括査定サイトを利用すると便利です。
依頼する不動産会社が決まったら、不動産会社との契約の取り交わしに移ります。
STEP3
いよいよ不動産会社との契約です。
この際の契約(媒介契約)には3つの種類があり、それぞれ特徴が異なる点を覚えておきましょう。
STEP4
売却活動の開始ですが、この際の売却活動は主に不動産会社による広告活動によって行われます。
そして価格や条件などで納得のできる購入者が見つかったら、売買契約締結に移ります。
STEP5
売買契約は不動産会社の事務所で、宅地建物取引士と重要事項説明書の内容を確認しながら行われます。
特に支払いや解除に関する規定は重要な内容なので、しっかりと確認しておきましょう。
STEP6
決済引き渡しは、手付金を除いた残金の受領と同時に行われます。
この際、買主が住宅ローンを利用する場合は、買主の住宅ローンが承認されるまで待つ必要があります。
STEP7
最後が確定申告と納税です。
土地売却により利益が出た場合、譲渡所得に伴う税金を支払わなければなりません。
確定申告は土地を譲渡した翌年の2月16日~3月15日が期間になりますので、忘れずに行うようにしましょう。
2. 優良不動産会社の見極め方
土地を売却する場合は不動産会社を介するのが基本なので、どこの不動産会社に依頼するかが重要になってきます。
選び方を間違えると、適正価格より低い金額で取引されてしまうこともありますので、
優良不動産会社の見極め方を知ることはとても重要です。
(1)一括査定サイトのメリットとデメリット
一括査定サイトとは、インターネット上で不動産の査定を依頼できるサービスです。
無料で簡単に手続きでき、複数の不動産会社の査定結果を一括して得られるというメリットがあります。
デメリットとしては、依頼後に営業の電話が多くかかってくる可能性がある点です。
中には強い口調で売却を進めてくる営業マンもいるので、不快な思いをすることもあるかもしれません。
また、不動産会社一括査定サイトで依頼できるのは、サイトが提携している会社のみで、
すべての不動産会社の査定結果が得られるわけではありません。
基本的に不動産一括査定サイトが提携する不動産会社は大手が中心で、
地域密着型の小さな不動産会社は含まれていないケースが多いです。
そのため、地域密着型の不動産会社の査定を知りたい場合は、直接訪問が基本になります。
(2)正直な不動産会社は市場価格で売る
正直な不動産会社は、土地の売主に過度な期待はさせず、市場価格で売却することを基本方針にします。
中には市場価格とかけ離れた高値で売れることを掲示する会社がありますが、
営業トークである可能性が高いので注意しましょう。
正直な不動産会社であるかどうかを見極めるためには、自分が土地の市場価格をある程度把握しておくことが重要です。
そのための方法の一つとして、前述した一括査定サイトの活用があります。
(3)お客様目線の売り時の提示
良い不動産会社は、市場価格で売ることを前提に、お客様目線になっていつ頃が売り時であるかをアドバイスしてくれます。
一般的に土地の売り時として最適なのは、金融機関の金利が低い時期です。
低金利であれば消費者は住宅ローンを組みやすいので、購入に前向きになる傾向があります。
また、売却する土地の地価がどう変動しているかも、重要なポイントです。
日本の地価は、住宅地はほぼ横ばい、商業地は上昇傾向にありますが、
今後はコロナショックにより低下していく可能性があります。
参考までに、つくば市、つくばみらい市、牛久市の過去10年間の地価の推移グラフを以下にまとめます。
つくば市
つくばみらい市
牛久市
※不動産相場サービス「ウチノカチ」より
いずれの市も茨城県の平均値を上回っていますが、年によって変化が大きいのがわかるでしょう。
このように土地は売り時によって価格が大きく変わる特徴があるので、
しっかりと情報収集して、損をしない時期を見極めることが大切です。
(4)大手業者のメリットとデメリット
大手不動産会社のメリットは、顧客数が多く、広告費もたくさんかけられるため、売却をスムーズに決められる点です。
できるだけ早く良い条件で売却したい方は、大手不動産会社に依頼するのがおすすめです。
一方でデメリットとしては、営業マンごとにノルマがあるため、中には強引な営業をしてくる担当者がいることです。
また、全国展開している会社が多い一方で、地元の詳細なデータを持っていないことがあるため、
細かい情報収集については地元の不動産会社に劣ることがあります。
(5)地元の業者に依頼するメリットとデメリット
地域密着型の不動産会社のメリットは、地元での売却実績が豊富にあるため、地域独自の特徴を把握している点です。
また、大手と違い、地域密着型の不動産会社は本店のみで営業しており、もし地元で悪い評判が広がってしまうと、
会社の経営に大きな支障をきたすリスクもあるため、より真剣に話を聞いてくれる傾向があります。
デメリットとしては、大手と比べて顧客数が少ないため、売却する選択肢が狭まってしまう点です。
また、戸建てやマンションなど不動産の種類によって得意不得意があり、
不得意な分野の場合、売却先を見つけられない可能性が高まります。
そのため、事前にその会社の得意分野や実績などを見て依頼するかどうか検討する必要があるでしょう。
しかし、オールマイティでない分、得意とする分野では強みを発揮しますので、
エリアが限定しているのであれば、地域密着型は強くおすすめできます。
3. 媒介契約の種類とそれぞれのポイント
不動産を売却する場合、不動産会社媒介契約を交わす必要があります。
媒介契約には、一般媒介契約、専属専任媒介契約、専任媒介契約の3種類があり、それぞれ内容が異なります。
3種類の違いを表にまとめると、以下の通りです。
媒介契約種別 | 複数社との契約 | レインズへの登録 |
一般媒介契約 | ◯ | 任意 |
専属専任媒介契約 | ✕ | 媒介契約締結日から5日以内 |
専任媒介契約 | ✕ | 媒介契約締結日から7日以内 |
では、この内容を踏まえたうえで、それぞれの特徴を見ていきましょう。
(1)一般媒介契約
一般媒介契約では、依頼者が複数の宅建業者に依頼でき、自ら顧客を探して売却の取引を行うことが可能です。
また、不動産会社に対して他に仲介を依頼している会社の情報を明示する「明示型」と、
会社の情報を明示しない「非明示型」があり、売主はどちらかを選択することができます。
一般媒介契約では、人気物件であれば不動産会社同士が競うことで、好条件で売却できる可能性があります。
しかしその一方、不動産会社としては他社が先に買主を見つけ、売却を決めてしまった場合、
仲介手数料を得られないリスクを背負うため、あまり積極的な販売活動をしてもらえない可能性があります。
したがって、売却する不動産が人気物件であるかどうかが、この契約を選ぶ場合の判断基準になるでしょう。
(2)専属専任媒介契約
専属専任媒介契約では、依頼者が他の宅建業者に重複して依頼することができないと同時に、
依頼した宅建業者が紹介する相手以外の人とは取引できない契約です。
不動産会社としては、他社と競合して負けたり、依頼者が直接顧客を見つけたりするリスクがないため、
一般媒介契約よりも積極的な販売活動が期待できます。
また、専属専任媒介契約を結んだ宅建業者は、指定流通機構への物件登録を契約締結の日から5日以内に行う必要があり、
業務報告も1週間に1回以上行わなければならないという、厳しいルールがあります。
したがって、他の媒介契約と比較して丁寧な業務が要求されます。
(3)専任媒介契約
専任媒介契約では、依頼者が他の宅建業者に重複して依頼できない媒介契約をいいます。
ただし、依頼者が自ら顧客を探して取引することは可能です。
不動産会社にとっては、依頼者が自ら売却先を見つけてしまうリスクはあるものの、
他社に取引を奪われる可能性はありません。
そのため、専属専任媒介契約ほどではありませんが、営業努力が無駄になる確率はかなり低く、
積極的な販売活動をしてくれるでしょう。
専任媒介契約を結んだ宅建業者は、指定流通機構への物件登録を媒介契約締結日から7日以内に行わなければなりません。
また、業務処理の状況の報告を2週間に1回以上行う必要があります。
この点も専属専任媒介契約ほどではありませんが、厳しいルールなので、依頼者としては安心できるでしょう。
4. 土地売却にかかる諸費用と税金
土地を売却する場合、不動産会社への仲介手数料などの諸費用や税金が発生します。
土地の売却価格から、こうした費用を差し引いた金額が実際に得られる収入になるので、
諸費用や税金の大まかな金額は事前確認することをおすすめします。
(1)諸費用
主な諸費用として、以下のものがあげられます。
仲介手数料
仲介手数料は不動産会社に支払う手数料のことで、宅建業法により下記のように定められています。
取引物件価格 | 仲介手数料の上限 |
400万円超 | 取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
200万円~400万円以下 | 取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
200万円以下 | 取引物件価格(税抜)×5%+消費税 |
繰上げ返済手数料
繰上げ返済手数料はローンを一括返済する際の手数料なので、ローンが完済している場合はかかりません。
測量費用
測量費用とは売却する土地を測量する際にかかる費用で、必ず行うものではありませんが、
正確な面積の把握や隣接する土地の所有者とのトラブル防止のために、実施するケースが多いです。
解体費用
解体費用は、家を解体して更地として売却する場合に必要となる費用です。
家の大きさだけでなく、構造や建材によって費用が変わるため注意しましょう。
(2)税金
土地売却の際にかかる税金には、以下の種類があります。
印紙税
印紙税は売買契約書に貼付する印紙代で、売買金額に応じて変わります。
具体的には下記の通りです。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
100万円~500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円~1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円~5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円~5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
抵当権抹消の登録免除税
抵当権抹消の登録免除税は、ローンの抵当権が残っている場合に支払う税金なので、
ローンを完済している場合は発生しません。
譲渡所得税
譲渡所得税は、土地の売却で得た利益にかかる所得税と住民税のことです。
あくまで利益にかかる税金なので、もし土地売却によって損失が出てしまった場合には
かからないことを覚えておきましょう。
(3)ローン残債の一括返済
前述したローン残債の一括返済は、基本的に手数料が発生します。
しかし、金融機関によって手数料の額は変わり、発生しないケースもあるので、事前に確認するようにしてください。
また、一括返済には返済額を引き落とし口座に入金するだけでなく、所定の手続きが必要になります。
これも金融機関によりますが、返済予定日の1カ月前までに一括返済する旨の連絡が必要になる場合が多いです。
連絡後に金融機関から手続きのための書類が送られてきますので、必要事項を記入後、期日までに入金すれば完了です。
(4)インフラにかかる費用
上下水道やガスなどのインフラが整備されていない土地である場合、配管を引き込む費用が発生するケースがあります。
もともと家が建っていた場合は基本的に問題ありませんが、長年、更地だった土地を売る場合、
こうした工事による負担が発生する可能性があります。
まとめ
以上、賢く土地を売却する方法や優良な不動産会社の見極め方について解説してきました。
押さえるべきポイントはたくさんありますが、特にどの不動産会社を選ぶかが重要になってくるでしょう。
エリアが決まっていない場合は大手不動産会社、ある程度決まっている場合は地域密着型の不動産会社というように、
ご自身の状況によって選定することをおすすめします。
また、時間に余裕があるのでしたら、いろいろな不動産会社の話を聞いてみるとよいでしょう。
特に地域密着型の不動産会社は、インターネットなどでは得られない地元の貴重な情報を
得られる可能性が高いので、ぜひ検討してみてください。
本記事が土地売却を考えている方の一助になれば幸いです。